CO2濃度はどの程度に保っておけばよいのか~教育機関編④~

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CO2センサーの選定ができ、ネットワークについても決まってきましたら、いよいよ実際に使用して、CO2濃度を管理していくことを検討していく必要があります。
ところが、CO2濃度の管理を行うこと自体初めての方が多く、何をどうすればよいのかがわからないと思います。

そこで、今回のコラムでは、そもそもCO2濃度とは何か?ということや、CO2濃度をどのぐらいに保てばいいのか?などをテーマにして話していきたいと思います。

そもそも、CO2濃度って何?

コロナ禍になって以降、‟CO2濃度”という言葉自体はよく聞くようにはなりましたが、改めてこのCO2濃度の意味から考えてみましょう。

CO2濃度は、文字通りではありますが、空気中に含まれる二酸化炭素の濃度を表します。
単位は‟ppm(ピーピーエム)”で、ppmは‟parts per million”の略です。

もう少し詳しく説明すると、二酸化炭素が1㎥中に含まれている割合のことです。
割合というと‟%(パーセント)”の方が馴染みがあるかもしれません。
1ppmを%に換算すると0.0001%となり、例えば、CO2濃度が500ppmの場合、その1㎥の空気中には0.05%の二酸化炭素が含まれているということになります。

CO2濃度はどのぐらいに保てばいいの?

このCO2濃度を1,000ppm以下に保つことが一つの基準となっています。
しかし、この基準は、新型コロナウイルスの流行をきっかけに決められた訳ではなく、1970年に公布されたビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)に基づいて定められたものです。
このビル管理法は、不特定多数が利用する建物を対象としており、床面積が8000㎡以上の学校も対象となっています。

元々、ビル管理法で定められている空気環境の基準としては、CO2濃度以外にも、浮遊粉塵の量、一酸化炭素の含有率、ホルムアルデヒドの量等も定められており、人体に直接的に健康被害を引き起こすことを防ぐ為のものでした。

しかしながら、この中のCO2濃度に関しては、CO2濃度が上昇すると、感染症のリスクが増大すると以前からも言われていました。
そして、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、CO2濃度に関して一定の基準を定めていたビル管理法の基準が、コロナ対策の一つの基準としても一般的に用いられるようになりました。

参考として、厚生労働省から「換気の悪い密閉空間を改善するための換気の方法(※1)」という題名でリーフレットが出されていますが、その中にも‟ビル管理法における空気環境の基準”を取り上げてコロナ対策の一つの基準としています。

CO2濃度は1,000ppm以下に保てば安全なの?

では、CO2濃度を1,000ppm以下に保っておけばそれだけで安全なのかと言われると、断言まではできません。
屋外でのCO2濃度は400ppm前後と言われており、この屋外のCO2濃度を理想とすると、その2.5倍である1,000ppmを基準とするのは必ずしも最適であるとは言えません。

また、有識者やワーキンググループによっては、CO2濃度を800ppm以下に保つことが望ましいという見解もあります。
この800ppm以下という基準は、海外で一つの指標とされていることも多く、米国疾病予防管理センター(CDC)や英国安全衛生庁(HSE)が換気を行う際の一つの基準としています。

ただ、理想を言うと際限が無くなってしまうのも現実であります。
実際に、ドアを閉め切って授業を行った場合、30分も経たずにCO2濃度が1,000ppmを超えてしまうことがあります。

さらに、ビル管理法で定められている空気環境の基準とは別に、文部科学省が制定している学校環境衛生基準(※2)というものがあります。
これによると、教室等の環境として、「換気の基準として、二酸化炭素は1500ppm以下であることが望ましい。」とされており、1,000ppmよりも高い1,500ppmという数値が基準となっています。

しかしながら、このように基準が幾つかある一方で、一度ドアや窓を開けて換気を行うだけで、CO2濃度は屋外と遜色ないレベルに低下することも事実です。
その為、‟常に”CO2濃度を理想的な数値に保っていくことばかりを考えなくてもよく、CO2濃度が学内で決めた数値を超えた場合には、換気などを行ってCO2濃度を適正な範囲に保つぐらいに考えた方がよいと思います。

その上で、800ppm(国内の有識者やワーキンググループ、米国疾病予防管理センター、英国安全衛生庁)、1,000ppm(ビル管理法)、1,500ppm(学校環境衛生基準)という3つの基準値があることは今後の参考として押さえておくとよいかもしれません。

今回は「CO2濃度はどのぐらいに保てばいいの?」というテーマで話してきました。
どの程度のCO2濃度であれば安全であるかは諸説ある為、CO2濃度の基準は学内でポリシーを定め、またどの基準を採用してもどこかで基準を超えてしまうことは必ずあるので、その基準を超えたら学内で予め決められた対処方法を行う、と明確に定めて対応を進めていくのが有効です。

※1.厚生労働省 作成
「換気の悪い密閉空間を改善するための換気の方法」

※2.文部科学省 制定
「【参考】学校環境衛生基準(令和4年文部科学省告示第60号)溶け込み版」

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