これまでのコラムで、CO2センサーの選び方、CO2センサーの設置場所、CO2濃度の確認の仕方など、どちらかと言うとCO2監視システムそのものに関する説明をしてきました。
ところが、どれだけ精度の良いCO2センサーを使用して、どれだけ容易にCO2濃度を確認できる仕組みがあったとしても、一番肝心なことは、実際にCO2濃度が規定の数値や基準を超えてしまった場合に、どのように対処すればよいか?ということです。
コロナ対策においては、この対処方法が一番重要で、しっかりCO2濃度が管理できていたとしても、それに従ってどのように行動を起こすかが一番の鍵となります。
そこで、今回のコラムでは、CO2濃度が規定の数値や基準を超えてしまった場合の対処方法について話していきたいと思います。
すぐに行える効果的な方法は窓やドアを開けての換気!
すぐに行えて、最もお金もかからない方法は、やはり窓やドアを開けての換気(以下、自然換気)です。
後述しますが、換気機能を持つ冷暖房設備、換気扇、または全熱交換器等を導入して機械的に換気(以下、機械換気)を行う方法もあります。しかしながら、元々備えられている場合を除き、どうしても多額の費用がかかってしまいます。
推奨される自然換気の方法としては、厚生労働省が作成した「換気の悪い密閉空間を改善するための換気の方法(※1)」に詳しく記載されています。
これに、夏場であれば、同じく厚生労働省が作成した、熱中症予防を考慮した換気の方法(※2)、冬場であれば、寒い季節を考慮した換気の方法(※3)も取り入れながら、自然換気を行っていくのがよいと思います。
上記の厚生労働省が推奨している自然換気の方法の一つを取り上げると、「換気回数を毎時2回以上(30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。)とすること。」と書かれています。
ただ、これを夏場に実施しようとすると、温度や湿度が上がって熱中症のリスクが上がってしまう為、温度を28℃以下、湿度を70%以下に維持できる範囲内で、ということになります。
一方、冬場の場合には温度や湿度が下がると、反対に感染症のリスクが増す要因となる為、温度を18℃以上、湿度を40%以上に維持できる範囲内で、ということになります。
予算に合わせて機械換気も行えれば最善ではありますが・・・
先述した自然換気の方法だと、どうしても換気するのを忘れがちになってしまいます。
まして、教授陣や学生に窓やドアを開けて定期的に換気をしてもらうのはなかなか難しいかもしれません。
そのような時でも、機械換気であれば、誰の手を借りることもなく換気ができます。
例えば、換気機能を持つ冷暖房設備、24時間換気が可能な換気設備、全熱交換器などが挙げられます。
しかしながら、新しく導入するとなると、多大な費用が必要となってしまいますし、また、後から追加で導入できるものばかりではなく、インフラから整備し直す必要があるものあり、様々な側面から機械換気は簡単に行えるものではありません。
さらに、機械換気を行いさえすればよいという訳ではなく、窓やドアを開けての自然換気と比較すると効果は限定されていますので、やはり自然換気と併せて行うのが最も効果的となります。
このように、現状ではCO2濃度が高くなった場合は、換気を中心とした自然換気をできる範囲で行い、もし機械換気が行えるような設備が整っていれば、自然換気と併せて機械換気を行う、ということになります。
その上で、コロナ対策にも少しずつ予算が取れるようになった場合に、機械換気を行えるような設備の導入を検討する、という段階的な対策が一番なのかと思います。
とは言いましても、これをすれば完璧に対処できる、これだけお金をかければ十分な対策ができる、これだと全く手間をかけずに効果を上げられる、という魔法のような対処方法は今のところありません。
試行錯誤しながら最善の策を見つけていくしか方法はなく、今回のコラムでは、現状で効果的と見られている対処方法についてご紹介させて頂きました。
※1.厚生労働省 作成
「換気の悪い密閉空間を改善するための換気の方法」
※2.厚生労働省 作成
「熱中症予防に留意した換気の悪い密閉空間を改善するための換気の方法」
※3.厚生労働省 作成
「冬場における換気の悪い密閉空間を改善するための換気の方法」